知識編09│寛骨縦回転

アドレスで「抜力」している下半身を手に入れました。
しかし、それは前提でありここからが本番です。

★全体像
「腰を回す」の正体
大腿骨の縦シーソー
足踏み

1.骨盤の勘違い(続)

【アドレス】でお伝えした「骨盤に関する勘違い」を正していく続きからいきます。

勘違い②腰の位置
勘違い③回転方向

勘違い②腰の位置
「腰を回す」の「腰」ってどこですか?
そもそも「腰=骨盤」ではありません。(詳細は【ゴルフの本質】参照)

※画像

腰(腰椎)だけをねじっている状態です。
そして腰椎はほとんど回らないので、人体構造上無理な動きをして痛めつけているのです。
今度はそれを嫌がって、1つの塊になっている骨盤とともに肩かヒザを一緒に回して体全体が横回転=ボディターンだ!と呪われてしまっています。

勘違い③回転方向
散々お伝えしているのでお分かりかと思いますが、体全体が「横回転」ではありません。
ここで遂に「腰を回す」の正しい動きの説明ができます。

左右の寛骨を縦回転

真ん中の仙骨を境に、左右の寛骨を縦回転させる。
これです。

そんなことできるのか!?と思う方もいらっしゃると思います。
が、ここまで『半身リバース』をきっちりやっている方は自然とある程度できています。

左右の半身で縦横に動かすことをやってきましたが、寛骨も同様です。
腰椎の更に下、背骨の終着点が仙骨ですので、腰椎を縦横に動かしていれば仙骨、そして寛骨も動きます。

よく「腰が入っている・いないパンチ」があると聞きますが、その正体もコレです。
「腰が入っているかどうか」なんて抽象的過ぎて分からないですよね。
構造で説明してはじめて具体的になりました。

※動画

見た目はどちらも「腰が回転している」ように見えます。
しかし、全く違う動きですし、動いている箇所も動かし方も違います。
また、どちらも体が回転はしているのでボディターンです。
手打ちvsボディターンなんてあるようですが、そもそも定義も動作もバラバラなのに何を争っているのでしょうか?と思ってしまいます。

1つの塊で横回転している→腰が入っていない、速く出来ない
3つに分けて寛骨が縦回転→腰が入っている、速く出来る

ゴルフもこの動きです。
人体構造なので、パンチだろうがゴルフだろうが効率的にエネルギーを発揮させる方法は同じです。

プロが「飛ばすときは腰の回転を速くする」と言っているのを聞いたことがあります。

その人の感覚なので具体的には分かりませんが、縦回転を速くしているのだと思います。
ゴルフは、「体は遅く(速く)・ゴルフクラブは速く(超速く)」(【ゴルフの本質】にてご確認ください)です。
体の動きだけ一気に加速させると両者の関係性が崩れてしまうため要注意です。
ただ、ゴルフクラブを超速く振れる人にとっては、寛骨の縦回転を速くする動きは武器になります。

2.大腿骨の横シーソー(縦操作)

(1)棒立ち

「体重移動」や「重心移動」という言葉を聞いたことがあると思います。
意図的に横に移動するものではありません。

大腿骨と寛骨の動きによって、重心が移動されます。
【アドレス】では、前傾・後傾という前後のシーソーをやりました。
今回は、少しややこしいのですが横シーソー(縦操作)です。

操作:大腿骨を縦に使います
結果:大腿骨が横に動きます(傾く)

※画像

例えば、足を横に広げるときに、ほとんどの人が大腿骨の上端と下端ともに横に広げようとします。
そうではありません、シーソーです。
「上端が内・下端が外」、このシーソーによって横に広げられるのです。

上端=大転子、下端=ヒザの手前です。
また、外と言っても真横ではありません。
大転子を上下に動かし、寛骨についているので弧を描くことで、大腿骨が動きます。
●大転子が上(内)→下端が外
●大転子が下(外)→下端が内
の関係性です。

大転子が出っ張ってくる動きをMAXでできるようになると、一定のところで止まります。
可動域の限界というよりも、寛骨側の臼にカポッと収まりこれ以上動かないという位置があります。
この状態を『大転子ストッパー』と名付けました。

ストッパーということは、可動域限界までいくので、急激な減速を起こします。
下半身のエネルギーが減速して、上半身へエネルギー(速度)が移行します。

BSでもダウンスイングでもここまで動かします、動かせます。
これだけの動きで「重心移動」が発生します。
これ以上余計な動きはいりません。


(2)アドレス(前傾)

アドレスをとって同じ動作をします。

※動画

「上端が外・下端が内」なので、内傾、つまり内側に動く力が働いています。
これがBSやダウンスイングの「壁」、上半身と下半身が一緒に回転せず捻転できる理由です。

足は地面についているので、内側には動いているようには見えません。
スポーツや武術は「見えない力」をいかに活用しているか?がとても重要なのです。
映像上見えている部分だけを追っていては、ほとんどのことが分からずじまいです。

3.足踏み・歩くと同じ

寛骨を縦回転させるという動きは、ゴルフ特有のものではありません。
皆様が普段から1日平均8,000回前後もやっている動作と同じということです。

そう、「歩く」です。

「ゴルフの腰を回す=歩く」ということです。

歩く時にも寛骨は縦回転をさせますし、大腿骨の前傾後傾、横シーソー(縦操作)もします。
ゴルフは足場を変えないため、「その場で歩く=足踏み」をしているのということです。

足踏みをするという意識ありましたか?
「腰を回す」のではありません、足を上げるのでもありません。
「寛骨+大腿骨で足踏み」をする、つまり足踏みという日常動作がゴルフスイングにおける下半身の動きです。

アドレスの段階で、タイガーをはじめトッププロもちょこちょこ小さく足踏みしています。
靴の中で行い見た目としては分からないプロもいますが、程度は違えど全員が足踏みをしています。
ドラコン選手は露骨に足踏みしますよね。
打つ直前の動作ですので、もちろん打つ準備&打つときに必要な動作です。

いわゆる「腰の回転」とは全く違う動きであることがお分かりいただけたでしょうか?

4.インパクトゾーンと左半身

(1)インパクトゾーンは上半身と下半身の動作の合成

【ゴルフ動作構造学:インパクト~フォロー(後)】「5.インパクトゾーン・均等に薄くて長いターフの正体」にて、インパクトゾーンの話を少ししました。
上半身と下半身の動作の合成であると書きましたが、下半身はこの「寛骨縦回転」の動きです。

①ヘッドはダウンブローなので上から下に行く途中
②左半身は上がり、左腕はほぼ真上
この2つ方向が合成されると、ほぼ横になります。

この2つめの「左半身が上がり」という動作は、『寛骨縦回転』によってできます。
半身を上げるとか肩を上げるとか、そういう次元の話ではありません。

※画像

結果的に「均等に薄くて長いターフ」になります。
これが下半身も加わった「真のインパクトゾーン」です。


また、トゥとヘッドが地面と水平であることで、「横にも均等」のターフになります。
どちらかに傾いてしまっている場合、ターフが均等になりません。

主に重力よって、トゥダウンというトゥ側が下に落ちる現象が発生します。
アドレスでは浮いているトゥが、スイングすることによって落ちて結果的にトゥとヒールが平行になります。

★コックを解く動き?
トゥダウンは自ら動作で発生させるものではありません。
尺屈(小指側に手首を折る)というコックを解くような動きがありますが、意図的にそう動くのではなく上述の通り自然現象なのです。
もし意図的にやってしまうと、「体側が落ちる+クラブ側も落ちる」なので落ちすぎてダフります。

逆に、トゥダウンに抗うように、「手元とシャフトが作る角度はなるべくキープ」するようにします。
そのためにも『雑巾腕』、左上腕外旋と「前腕内旋」によってずっとヘッドが落ちないようにするエネルギーが必要なのです。
ここでも、『雑巾腕』がゴルフスイングの原点であることが分かりますね。

結果だけを見ると、地面とヘッドは平行で真っすぐ動きますし、トゥとヒールの高さは平行で真っすぐ動きます。
「真っすぐ動かす」と言うのも、人によって意味が全く変わりますし、これらのことが無意識にできてしまっているプロがそう表現してしてしまうのだろうなと思います。
逆に言えば、ここまで分かっていなくて「真っすぐ」を勘違いしたら、どれだけ呪いの言葉になるかも分かったと思います。


★真っすぐ・押し込む
インパクトで「真っすぐ」や「押し込む」と聞いたことがあると思います。
定義が人によって全然違うため、正しく理解できていないアマチュアにとっては呪いとなってしまっています。

人体構造通りに動かすこのインパクトゾーンでは、右前腕が内旋しつつ飛球線へ押し込みます。
この動きが押す、押し込む、結果的にフェースが真っすぐを向いた時間が長い=真っすぐ動かせ等と表現されているのだと思います。

そのせいで、フェースを真っすぐにしようとしてチキンウイングになったり、押す派と引く派という派閥ができたりするのだと思います。
押すだけではないですし、引くだけでもありません。
両方の要素を使いますし、使った方が効率的かつ自由を制限するため再現性高くなります。

(2)左半身が後傾するメリット

横のシーソーだけではなく、手元を縦(引き上げる)にすることでクラブヘッドが加速します。
(動画内では、分かりやすいように振り子にしています)

※動画

縦の動きを入れることによって、
①インパクトゾーンが生まれる
②先端が追い越して加速する
この2つのとても大きなメリットがあります。
(他にも、左肩甲骨を前傾させやすい、左寛骨の後傾など色々とあります)

●胸を開く?左に振る?後ろへ引く?
では、どのように手元が縦に動くのでしょうか?
さすがに手元だけ引き上げることは誰もしませんし教えません。

ここで、「胸を開く」「左に振る」「左腰後ろへ引く」という【呪いの言葉】が出てきます。

恐らく、要するに手元が縦に動かしたいので色々な方法で出てきた言葉かと思います。
しかし、それらの動きが具体的に分かりますか?
私には分かりません。
このような曖昧な言葉や感覚では迷子になるのも当然かと思います。

【実践編】では、寛骨を縦回転させるための操法などをお伝えします。
下半身の動きは難しいですが、上半身同様日々の積み重ねで動くようになっていきます。

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