知識編02│肩甲骨ハンガー

体の動きとクラブヘッドの動きを繋ぐ超重要動作・状態

●腕の通り道がほぼ決まります
●安定感・再現性が飛躍的に上がります
●これを前提として次以降の動きが成り立つ土台になります

体の動きが完璧であっても、ゴルフクラブが必要な動きをしなければ意味がありません。
その懸け橋となるのが「肩甲骨ハンガー」です。

体の動き → ココ → ゴルフクラブ

ゴルフクラブを持つのは手です。
手が属するのは「上半身」です。
その証拠に、【プロアマ共通点】「膝立ち打ち」でもお伝えしましたが、下半身の動きを封じられた状態でもプロは打てます。
プロに特殊能力がある訳ではありません。
上半身だけで打てるのが当たり前なのです。

なお、「肩甲骨ハンガー」は【ゴルフ動作構造学】における造語です。

1.肩甲骨ハンガーとは


※動画

(1)状態

肩甲骨で腕やクラブをハンガーのように吊るしている状態です。
アドレス前から作り、フィニッシュまでずっとこの状態です。

●上腕骨の上側は肋骨に乗っている
●肘は肋骨に当たらない
●体と手元の間にスペースが出来る
●腕の力を完全に抜くことが出来る
●(正面アングル)腕を左右に動かすと、手元が体の中で止まる

上腕骨の上側は肋骨に乗っかりますが、肘は肋骨に当たりません。
肘を肋骨にぶつけようと思っても出来ません。
つまり、手元と体の間にスペースが必ず生まれるということです。

また、腕は空中に浮いていますが、腕力で浮かせたり耐えている訳ではありません。
完全に腕の力は抜くことが出来ます。
つまり、世間では「脱力」(定義が人によって違いますが)と言っていますが、この肩甲骨ハンガーが出来ていれば、いわゆる「脱力状態=腕力をほぼ使わない」状態で打てるということです。

(2)肩甲骨と腕の構造

※画像

「腕」と聞いてどこからどこまでを思い浮かべますか?
ほとんどの方が、上腕骨頭(上腕骨の上端)と答えると思います。
まずそのイメージを変えましょう。

構造を見てみると、
指先→前腕→上腕→肩甲骨→鎖骨と繋がっています。
「鎖骨の内側のポコっと出っ張った骨」が腕のはじまりです。
ここと胸骨(きょうこつ)がくっついており、肋骨へと繋がっています。

肩甲骨ですが、背中側にある大きな骨です。
上下左右・傾く・弧を描くように動くなど、非常に自由に色々な動きができます。
というのも、外側2ヶ所だけが他の骨とくっついているだけだからです。
肋骨とはくっついておらず、空中に浮いているようなものです。
しかし、ほとんどの方が肩甲骨回りの筋肉を動かさず固まってしまっているため、腕が上がらない四十肩などの不調が起こってしまうのです。

(3)凹凸による自然な動き

上腕骨と繋がっているのが肩甲骨ですが、「上腕骨側が凸・肩甲骨側が凹」の関係でカポッと収まっています。
上腕骨側の凸部分が球体なので、回すことができます。

※動画

上腕骨が前後に動くときに、そのまま真っすぐ出るイメージをしている方が多いと思いますが、実は違います。
上述の通り、球体なので回るようにできています。
人体構造上、上腕骨が
●外に回るときは前
●内に回るときは後
に動きやすいようにできています。
もちろん逆の動きもできますが、自然なのは上述の動きです。

上腕骨をしっかりと外に回す(外旋)ことで、肩甲骨側の凹にしっかりとハマるようになります。
これにより「肩甲骨が締まる」ような感覚になります。

この状態が「肩甲骨ハンガー」です。

●脇を閉める?閉じる?締める?

ゴルフや他のスポーツでも、脇を「閉める」「閉じる」「締める」というレッスンや言葉を耳にします。

───それぞれの意味や違いが分かりますか?
分からないですよね。
人によって言うことが変わりますし、ニュアンスで伝えていることがほとんどだと思います。

上腕骨を充分に外旋させた結果、「脇が締まる」のです。
「~する」のではなく「~される」、つまり状態なのです。
「しめる」のではなく「しまる」です。
全く別物です。

2.「腕は体の正面」

『肩甲骨ハンガー』の状態を上述しましたが、最後の
●(正面アングル)腕を左右に動かすと、手元が体の中で止まる
これが非常に非常に重要です。

この状態ができると、よく言われる「腕は体の正面」という言葉の意味が分かってきます。

(1)「腕は体の正面」の正体

※動画

肩甲骨ハンガー状態だと「手元が左右へいく自由が減ります」。
非肩甲骨ハンガー状態だと、かなり自由に手元が動いてしまいます。

自由に動くのは良いことなのでは?と思うかもしれません。
体にとってはもちろん動かせる箇所が多い方が良いのですが、ゴルフスイングにおいてはなるべく自由を制限して同じ動作をできるようにするということが重要です。
再現性が上がるのはもちろん、エネルギーが分散せずむしろ一層強力なエネルギーを発揮できます。
水が出ているホースの先端を狭めるイメージです。

※画像

NG動作の代表として、「右肘を後ろに引いてしまう」です。
肘が体の正面から外れてしまうと、腕全体も外れてしまいます。
フォローで左肘を後ろに引いてしまうと………いわゆるチキンウイングになります。
腕というより「肘」が正面のままと言い換えた方が受け入れやすいかと思います。

あとは、肘を「曲げて伸ばす」、上腕や前腕を「回す」です。
この動きだけで「腕」は完成します。
そして、背骨やそれに伴う肋骨等の動きを加えていくとゴルフスイングになっていきます。

手元の左右の移動は少しだけ、肩甲骨ハンガーでの制限内だけです。
左右に大きく振ろうと思っている方は、「呪い」にかかっているので今すぐ解呪しましょう。

(2)手元ではなく肩甲骨を動かす

手元を動かす際に、振り子のように手元を動かないようにしましょう。
基本の動きは「シーソー」です。

手元のシーソーの相方となるのが…
肩甲骨です。

肩甲骨を内側、外側へ動かすことによって、手元が外側、内側へ移動します。

※動画

●肩甲骨が内側へ(内転)→手元が外側へ
●肩甲骨が外側へ(外転)→手元が内側へ

内外どちらもMAXまで動かしましょう。
MAXで良いのです。

0~100のうち、72で止める調整は再現できません。
100まで動いて適正な位置に行く。
これが構造のメリットの1つです。

『肩甲骨ハンガー』ができていると、手元を動かそうとしてもできないため、自然と肩甲骨から動かすようになります。
肩甲骨を手元とのシーソーで動かすことで、上腕や鎖骨も動いていくことになります。
このように、なるべく多くの骨・関節・筋肉を動かしていくことが「体を使う」ということです。

3.雑巾腕

『肩甲骨ハンガー』に続いて、超重要動作である『雑巾腕』も説明します。
これも造語です。

肩甲骨から繋がっている、「上腕・前腕」の動きです。
肩甲骨ハンガーを作るために必要な動きであり、かつエネルギーを出すダウンスイングやインパクトにも必要な動きとなります。

剣術において、剣を振り下ろす(エネルギーを発揮する)ときに「上腕骨が外旋」していることに加えて、「前腕が回内」していることが重要です。

●上腕は外旋
●前腕は回内

外と内………
そうです、上腕と前腕で雑巾絞りのように逆の動きをしているということです。
剣術においては、振りかぶるときは逆の「上腕は内旋、前腕は回外」となりますが、ゴルフスイングではクラブヘッドが暴れるだけなので、アドレスの段階から『雑巾腕』状態を作ります。
詳細は順を追ってお伝えしますが、右腕は最初から長い時間この『雑巾腕』状態です。

これは色々と試してきた私個人の感想ですが、
何かミスが続くときは、大抵が肩甲骨ハンガーができてないとき、だと思います。
●腕力で振ってしまっている
●手元が左右に大きく動いている
●肘を引いてしまう
●肩甲骨でなく手元を動かしている
等々、肩甲骨ハンガーができていないと現れるNG動作が沢山あります。
逆に言うと、肩甲骨ハンガーができていればそれほど多くのNG動作を封じることができます。

肩甲骨ハンガーと一生の親友になってください。
まずは手ぶらで、何かを持って、ゴルフクラブを持って、スイングして…常に一緒です。



【実践編】では、「肩甲骨ハンガー状態」や「雑巾腕」を作るための方法等をお伝えします。

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